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○ 勇者の愛

ずいぶんと以前の話です。

結氷したポトマック川に、
離陸直後の旅客機が、 
墜落してしまいました。

氷点下の水温の 川面から、
かろうじて 救い出されたのは、
わずかに 5名だけでした。

しかし本当は もう一名、
川面に浮いていた人がいたそうです。

その男性は、
救難ヘリから投げられた 命綱を、
一度は 受け取りましたが、
それを 他の人に渡しました。

救難ヘリは 要救助者を吊り上げて、 
河畔に下ろしたあと 急いで戻り、
命綱を譲った「勇者」に、
もう一度 命綱を投げました。

しかし 受け取った その男性は、
またもや 他の人に 命綱を渡してしまいます。

氷点下の水中にいると、
浮いていたとしても 
低体温症で 生命の危機です。

その前でも 意識がなくなり、
水中に引き込まれてしまいます

急いで往復したヘリが、
三度目に戻った時、
その「勇者」は、
既に 浮いていませんでした。

空しく基地に戻る 救難ヘリ。

百戦練磨の救難員が、
号泣してしまって、
報告できなかったそうです。

「勇者」は 何も、
自己犠牲の死を 選んだわけではなく
ただ「自分を最後に」と、
勇気を振るったのかもしれません。

「人として 当たり前のこと」
多分 勇者は そう言うはずです。

しかし 結氷した水面に浮いて、
つかんだ命綱を 二度までも、
他者に渡すこと。

これは常人には できない偉業です。

勇気があること
強い身体を持つこと
奉仕の精神に富むこと

それに加えて 何よりも、
「愛」がなければ 不可能です。

人は 逆境に置かれたとき、
その「愛」が 本物であるかどうか、
それが問われます。

この勇者は、
常日頃から 愛について考え、
愛の実践について考え、
その愛の根源が どこにあるかを考え、
愛のために 生きることを考えていたはずです。

自らが 結氷した川面に浮いて、
果たして 命綱を他者に渡せるかどうか。

ただただ その愛の偉業に、
尊敬と感謝の念を 送るのみです。
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